幼少の頃を英国で過ごした経験は、彼の音楽観に大きな影響を及ぼしていることは間違いない。

かといって、ちっぽけな紙飛行機を空箱の中に紐で浮かせただけの"ジオラマ"を、
ニワトリやアヒル(もちろん本物)の歩きまわる教室で作った事が
彼の音楽性を豊かにしたかどうかは定かではないが。

とかくピアノのレッスンについては、日本の、
いわゆる「カチッとした」教授法は彼には窮屈なばかりであったがゆえに、
自分なりの「音楽を創る」楽しさを教えてくれる音楽教育に
羽を伸ばせたことはいうまでもない。

もちろんライフスタイルその物も大きく違っていた。
教室の古い小さなピアノで授業中に「スーパーマリオ」なんかふざけて弾こうものなら、
日本ではあっという間に廊下に立たされたであろう。
英国で学んだ学校がたまたま非常に自由だったのは事実であろうが、
とにかく違ったのである。色々な事がすべて。
簡単に言えば、
やりたい事を気ままにやって育った。
もちろん、常識の範疇で。

必然的に、日本に戻ってからの生活は、彼にとってはとても難しいものだったという事は容易に想像できる。
それでも中学時代は、教授陣に理解があった為、さほどの事ではなかったが、

高校時代は、決して楽しい学生時代とは言えない物だった。
まず、通学に往復4時間を費やさなければならなかったせいか、
友達付き合いは非常に限られていた。
更に、女子が多すぎた。
いや、多過ぎるという事はない筈なのかも知れないが、
残念、当時の彼は、あまりに違いすぎるその環境に
とけ込める術を持ち合わせてはいなかった。
何よりも、気の合う友人を探すのは不可能に近い事であった。
結果的に、高校3年間で20キロの体重を失った。

そして彼は大学に入って間もなく、
結局英国に戻って来る事になるのである・・・。
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